2010年11月20日土曜日

函館山南壁 2010.11.20/21

初めて訪れた道南の岩場、函館山南壁。
事前に僕が伝え聞いていた情報によると。
・あまり登られていない。
・ナチュプロを多用するルートが多い。
・トポを見ると10台~11-がほとんど。
といった内容から、正直、ハイキング気分で出かけたのだけど、現地で実際に登り出し、
印象は一変する。

*南壁所感
・まず、まったく普通に地元のクライマーが週末楽しんでいるルートが十数本あり、支点
 ボルトも終了点もちゃんと整備されている。
・ナチュプロを用いて登るルートも「支点がナチュプロで内容は簡単なフェイス」などという
 ものではなく、「クラックがあまり登れない僕にとっては極めて奮闘的なクラックルートで
 ある。」だった。
・壁の傾斜は垂壁からやや寝ているスラブがほとんど。
 こういう傾斜でランナウトしてフォールするのは余計怖い。
・支点ボルト間隔は概して最小限。
  ハングドックしてA0でトップアウトなどという安易な事は許さず、「ほれほれ、怖くないか
  ら、突っ込んでおいで。(笑)」という感じ。(笑)
  なんと当日は南壁黎明期にルート開拓されたクライマーの方もおられ、「ボルト間隔遠く
  て、ホントはもう少し増やしたいのだけどね。」と穏やかに話されていた。
  その話ぶりからは自分達が開拓整備した岩場を我が子のように思い、遊びに来るクラ
  イマー達をより安全に楽しく登らせてあげたいという気持ちがとても伝わって来た。
  なんのなんのフリークライミングの思想は「ボルトは仕方なく打つもの。」
  あなた達、先人のクライミングこそ受け継ぐべきスタイルだと思います。^^)

といった、これらの事から僕の南壁への印象はがらりと変わった。
×最初の印象 
 あまり整備されておらず、ボルトは信用出来ない。
 よって、プロテクションはナチュプロでとる、易しめのフェイスルートが多々ある。
      ↓
○2日間を終えての印象
 とても親切な地元クライマーさん達が週末にはクライミングを楽しんでいて、ボルトや終
  了点もちゃんと整備されている。
 ボルト間隔は最小限で、メンタル面のコントロールが重要な性質のルートが多い。
 奮闘的なクラックルート(クラック初心者の僕にとって相対的に。)がいくつかあり、ナチ
  ュプロのセットをマスターして、改めてちゃんとRPしたいとい確固たる意欲を持った。

 
で、2日間の内容はというと当然初めての岩場なので、全てのルートがオンサイトトライ。
とは言え、ハイキング気分は抜けず、終始日和って終わる。
唯一、明確な意思を持ってフラッシュを試みた、アトミックドロップ 5.11bも上部スラブ部分
で大苦戦、、
もう一つ、特筆すべきルートはフルマラソン 5.10a。
このルートも例によって支点ボルトは最小限なのだけど、僕は結局、トップロープのみで登
った。
結果として、オンサイトトライを試みたT山さんがとても価値あるクライミングをしていた。
これはもう、初見での登りとその登りを見た後とでは、そのクライミングの価値はまったく変
わって来る。
T山さんもオンサイトトライだったので、当然、ルートの詳細は分からない。
どこでどうランナウトして、そのランナウトした後のクリップホールドで体勢姿勢は安定する
のか、あるいはそこで体が消耗していて、クリップ出来ずにフォールする可能性は?
等々、初見のルートでは未知なる事が多々ある。
こういった場合、何が怖いって、このように情報がまだ無い事だ。
もちろん、それらを楽しんだり、恐怖をコントロールするのがクライミングへの取り組み方の
一つなので、僕はそれを放棄した事になる。(ええ、日和りました。。。)
仮にT山さんの登りを見た後に僕が登ったとしても、「ああ、あそこでランナウトして怖いん
だな。」「でもT山さんは安定してクリップ出来ていたから、おそらく大丈夫だな。」などといっ
た情報をすでに知っている分、僕の心は若干、穏やかな心持ちになる。
それでもあえてトップロープで登った僕は日和ったとしか言いようが無い。
あーあ、メンタル弱し。

ともあれ、晩秋にしては思ったより暖かいエリアで、のんびりとクライミングを楽しめた。
夜は同行した皆さんと大きなテントで鍋を囲む。
テントサイトからは函館の港が一望出来、夜空には満月。
最高のロケーションで、良きクライマー仲間達と楽しく過ごせた2日間だった。