森林限界を超えた辺りから広がる高山植物群の景色は開放感があって、とても気持ちが
良い。
渓相も初めは沢の脇の廃道のようなところを迂回しながらの煩わしい遡行だったけど、標
高が上がるに連れ、様子は一変する。
標高1370m付近には落差25mの大滝。
水流が叩きつけられる滝壺。
飛び散る水の飛沫が随分冷たく感じた。
この滝は右岸から巻いたのだけど、この部分がちょっと緊張。
難しいところの無い沢だけど、強いて言えばこの部分が核心かな。
その後は沢そのものの中間部分を越えつつもなお、大きな川幅と転がる巨岩。
その大雪山のスケールに相応しい渓相だった。
源頭付近。
これまでの急登を終えると傾斜は顕著になだらかになり、途端におだやかな印象になる。
強く踏みつけるとポコポコという地面は岩の上に苔と土が乗った体積層か。
とてもふかふかで、思わず寝転がる。
ここまで来るともう、沢は登りきったという雰囲気になり、あとは大雪山のスケールの大き
なカールを望みながらお鉢を巡る登山道を目指すだけだ。
下山は黒岳登山道とロープウェイ。
長い登山道の下りが無い事はありがたかった。(笑)
ところで、今回、この白水川を遡行していて、折々に目が行った存在がある。
白水川の横を流れる黒岳沢だ。
なにせこの黒岳沢、地形図で見ると今回、僕らが登った白水川に対して、等高線がとても
混んでいる上に多数の崖記号があり、とても険悪な印象なのだ。
帰りがけ、同行した仲間と地形図を眺めながら、「ここ、登れるんだろうかね。難し過ぎて遡
行対象になってないのかな。」などと話していたが帰宅後、「北海道の山と谷」を見るとなん
と遡行対象になっている。
「!!!」だ。
やはり、登られているんだなと驚きながらも、その存在が気になる山行となった。
黒岳登山道にて。